二度目の新入社員経験は一度目と全く違いました。配属部門にも中途同期が数人いましたが、バリバリのSE転職者もいれば博士号を持つ人などキラキラの経歴。社内会議も、外人が一人でも入れば普通に英語でと、ビックリの連続です。なによりビックリは退社時には机の上には絶対何も置かず、引き出しは必ず施錠して帰らなければならなかった事。まぁ、当時スパイ事件などもあったので特に厳しかったのかもしれません。
やがて1年を超える長い新入社員教育を経て、独り立ちする時には関東の大学に設置された大型コンピューターの維持を担当する新米システム・エンジニア(SE)としてスタート。当時はまだパソコンは黎明期で、大学での教育は大型コンピューターを端末経由で使い、数値演算を行うFortranのプログラミングなどを学習するのが主流でした。ただ時代の流れとして、最新設備としてコンピュータ教室を設置する動きが盛んになっていました。それらの案件を、新米SEとして何とかこなすと共に、「担当SE」として学術研究でのコンピュータ活用のご相談なども受けたりしていました。
そうして半年、ようやく新生活に慣れてきた頃、突然に名古屋転勤のお話が来ます。聞けば勤続20年のテクニカルに長けたベテランSEが、お母様の面倒を見るために東京に戻らなければならず、その方の交代で私に行かないかという話でした。大阪ならまだしも名古屋、しかも1年半の経験しかない私が20年超のベテランの後任になるなんて「無理です」とは言ってはみたものの、結局は説得に負けて名古屋に転勤しました。
名古屋に移ると、なんと部下がいました。ただし、卒業後ずっと技術者として活躍されていた方で、製品知識もプログラミングの経験も段違いにご存知。しばらくは、その方と共に二人三脚でお客様を担当することとなります。中部地区全域が担当なので、大学も地区を代表する大きなお客様で仕事の幅も、接客する方々も一気に増えました。
ただ、元が怠惰で遊び好きな方なので少し落ち着いてくると、しばらくお留守になっていた音楽活動や、仕事とは別用途で使うパソコンにも興味が湧いてきます。 続く