学生時代やっていたバンドは、全員社会人になって休業状態。でも、Kyokoさんはギターも弾けて歌も歌えるので「それなら2人だけで演ってみるか」と始めたのが「多重録音」。要は2人の音を録音して何重にも重ねて音楽を作る方法でした。
私はステレオ・オープン・デッキ、Kyokoさんはカセット・デンスケを持っていたので、一方のレコーダーを再生しながら、歌や演奏を同時に重ねてもう一方のレコーダーに録音していきます。この録音方法は「ピンポン録音」というやり方で知られていますが、テープレコーダーでは「サーッ」というノイズが避けれれず、最初は複数回録音すると演奏よりノイズの音が大きいなんてこともありました。また、先に録った音の調整は後からやり直しできないので、幾度かは「一からやり直し」なんてことも避けられませんでした。
そこで、少ない給料の中から無理をして専用機材の購入を決意。当時、こうした多重録音にフォーカスしたTEAC社のA−3340という4チャンネルのマルチトラック・テープレコーダーと、Model 2Aという6チャンネルのミキサーを購入しました。もちろん4チャンネルでは足りないので、ピンポン録音を併用しながらでしたが、それまでのように「ノイズに埋もれる」ことも「最初からやり直し」することもなくなりました。

